冬の華
先に指名したもん勝ち…みたいなシステムらしく、
彼女は俺以外の担当に付くことはなかった。

だが…店ん中歩けば
男共の視線が集まる。

目線の先は…
辿らなくても分かる。

見てんなっての。
鼻の下伸びてんだよ。

降り注ぐ視線に苛付く俺の元に、

「お待たせしまし…た…」

他の子とは明らかに違う接客の、
彼女の照れ笑いは…、

顔を緩ませる。

何キョドってんだか。

「あの…ね。オプションで…、別料金何だけどね…」

歯切れの悪い物言いに、
店内を観察する。

「きゅんきゅん…
やっぱり何でもない」

きゅんきゅん…?
何だ?

テーブルの告知マットに
きゅんきゅんタイムって
デカく載ってる。

ジャンケンして勝てばご褒美?

ご褒美の内容は勝つまで秘密…。

腕時計を確認する。

「よし、上がりだ着替えてきな」

< 73 / 298 >

この作品をシェア

pagetop