冬の華
食事中も帰宅後も口を利かず、
勝手に辞めさせたことを今もまだ怒ってる。

「だからバイトなら…
家事全般でいいじゃんか?
ちゃんとバイト料も支払うし、
時給制がいいなら、
時給もあんな店より高くするし
タイムカードも買う。
銀行振込にもするから」

閉じ籠った部屋の前に立ち、
ドア越しに声を掛け続ける。

「なら向こうの家引き上げよ?」

ずっと気になってた。
あの家があるから、
俺はずっと不安なんだ。
此処から居なくなるじゃないかと

「ダメだよ…」

やっと口を利けばそれか?

「…何でだよ?」

此処が家でいいじゃんか…。

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