冬の華
「他の女なんて興味ないよ…。
一緒に居たいのは君だけだから。頼むよ。俺から離れるなよ」

カチャって音と共に
音もなくドアが開かれた。

「私のことを好きですか?」

直視されたじろぐ。

好きか聞かれると困る。
これが好きって気持ちなら…。
ってか好きってどんなだよ?

「他の女なんて要らない…。
君だけなんだ。
君を抱きたい…
君が欲しいんだ」

胸中を晒け出す。

これで引かれたらその時だ。

目をそらさずに返した。

「そんな簡単に…あげません」

やっと笑顔を見せた彼女を

俺は心のままに、
力いっぱい抱き締めた。

彼女の手が躊躇いがちに
回される。

もう咎めるもんは何もない。

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