冬の華
触れ…ない。
触れらない。

ってか動けない。

金縛りに遭ってるみたいに
ビクともしなかった。

理由が分かってる。
こんな芸出来んのはヤツだけだ。
にゃろ〜

目を閉じたまま待つ彼女に、

「ねぇ…キスして?」

囁いた。

俺が行けないなら来て貰うまでだ

目を見開き
真っ赤になって恥じらう

彼女を待った。

上膊に手を添え近付く。

《禁欲中じゃないのか?》

ワンダの声に、
止まった。

「ワン君がダメって…」

離れ際呟く。

えっ?
つまり…。

「何時から?」

主語も本文もない問掛けに、

大きく瞬きを繰り返す。

「禁欲中のこと?」

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