冬の華
暫く黙って抱かれてた彼女は、

「いいよ…私は生き餌になるよ」

震える声で呟いた。

「何言ってんだよ?
そんなのダメに決まってんだろ」

折れるんじゃないかってぐらい、強く抱き締めた。
逸そ取り込んでしまいたい。

離したくない…
離れたくない。

「だって心が死んじゃうよ?
傍に居てくれなきゃ…。
生きてる気がしないよ」

何も分かってない。
何の餌になるって言ってるのかも
どんなに危険な目に合うのかも。

忘れもしない。
あの初仕事で味わった絶望感…。

あんな戦慄を感じさせたくない。

「駄目だ。あの部屋が嫌なら、
他に探してあげるから…

「ヤだ」

最後まで聞かずに
部屋に閉じ籠る。

前進したかと思えば大きく後退…

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