満員電車*チカンからはじまった恋*
数分後。

おっさんがもうチカンを認めていたこともあって、俺と女の子はすぐに解放された。


「あ、あの…助けてくれたのに本当にすいませんでした!」


「俺、君に掴まれる前に、おっさんに『警察行くか?』って言ったのに…聞こえなかった?」


「たぶん、どうしようか悩んでたときだったから…」


…だよな。


女の子がチカン捕まえるのには相当な勇気が必要。

周りの声が聞こえなくなってもおかしくないか。


「掴む相手は違ったけど、よく頑張ったな♪」


笑顔でそう言うと、女の子は涙を流した。



黒髪でロングストレート。

髪の先だけすこし内巻き。

最初中学生かと思ってしまったくらい、幼い顔立ち。

でも、少し身長は高めで。


…かわいい…。

その泣いてる姿に不謹慎ながらも目が離せなかった。



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