満員電車*チカンからはじまった恋*
「ねー。そういえば、隼人くんは今まで彼女いた?」


去年のクリスマスを思い出していた俺は、今に引き戻された。


予想外の質問によって。


彼女か…

美羽さんに話したくない。


でも、うそはつきたくなかった。


「中学のときに1こ下の彼女が1人いたよ。もう2年も前だけど。」


俺がそう言うと、美羽さんは少し暗い顔をしてこう言った。


「そっかぁ。いいな…私も両想いになってみたいな…。」


両想いか。

俺も本当は美羽さんと両想いになりたい。


でも…無理なんだろうなぁ…。


「あ、暗くなっちゃってごめんね!」


「お待たせしました。」

ちょうどいいときに、店員さんが料理を持ってきた。


これ以上恋の話をしてたら…なんて言えばいいのかわからなかった。


店員さんのタイミングに感謝だ。


それからは恋の話になることはなく、ただ世間話で盛り上がったんだ。



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