満員電車*チカンからはじまった恋*
あれ?


校門に立っている人の後ろ姿を見て、俺は思わず立ち止まる。


なんで?なんでいるんだよ?


見間違いであってほしい。


でも、俺が見間違うわけないんだ。


「隼人?どうした?」


七海の言った『隼人』というワードが聞こえたのか、その人はこっちを向いた。


「隼人くん…」


なんでここにいるの?


「隼人の知り合い?」


なんでそんなに悲しい顔してるの?


「美羽さん…」


聞きたいことはある。

でも気まずくて聞けない。


それ以前に、俺はここから動けずにいた。


そんな俺を後押ししてくれるのはやっぱりこいつらだった。


「隼人、俺たち先に帰るな!」


「ちゃんと話してみなよ。ここに来たのはきっと訳があるから…な?」


2人は俺の肩を軽くたたいて、先に帰っていった。


ありがとう…七海、良平。


やっと俺は動いた。

美羽さんのもとへと。


< 33 / 36 >

この作品をシェア

pagetop