満員電車*チカンからはじまった恋*
「この人チカンです!!」


「…は!?」


改めて『チカン』と言われてしまうといらついた。


俺じゃないのに。


俺は少し安心している感じの真犯人、おっさんの腕をつかんだ。


信じてもらえなくても、自分の無実は自分で晴らさないと。


「俺じゃなくてこいつ!な?おっさん。」


「す…すいません…」


俺がおっさんを睨むと、この満員電車の中深々と謝るおっさん。


「え…?あ…ま、間違えちゃってごめんなさい!!」


女の子は意外にもあっさり信じてくれた。


「もういいから離してくれる?」


俺はまだ女の子に掴まれてる手を振る。


今のままじゃ2人に手を掴まれてて、せっかく誤解とけたのに俺が犯人みたいじゃん。


女の子が手を離した瞬間、駅につきドアが開いた。


「おっさんと一緒に駅員さんとこ行こ。俺も行くから。」


女の子はうなずき、俺たちは駅員さんのところに向かった。


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