あたしの中のアタシ。


「…っ」


溢れだす涙。


『綺羅は悪くない』


初めてだった。


誰かにそう言ってもらったのは。



─傷だらけで可愛そうな綺羅。でももう大丈夫、アタシがついてるわ。


「本当?」


─本当よ。アタシはあなたを裏切らない。

これからはアタシが綺羅を守るからね。


「あたしを、守ってくれるの?」


─えぇ、だって、アタシはあなただから。


「あたし?」


─そうよ。誰も守ってくれないのなら、自分で自分を守ればいい。

アタシがあたしを守ってあげる。

だから安心して、ゆっくり休んで…


「っ、ありがとう…」



< 43 / 50 >

この作品をシェア

pagetop