神様・俺様・速人様
「ちょーと?直哉と仲良さげ?」
綾那は本当こういう話題が大好きなのね…
『直哉はただの陸上仲間だよ!!』
「女形直哉もかっこいいけど陸上の直哉もかっこいいしね?」
綾那はそう言って雑誌を広げる。
一番最初のページに速人のアップが写っている。
すまし顔な速人は本当に16歳とは思えない。
「秋穂!!速人くんの特集やってるよ?」
『速人…の?』
今はなんだか見たくない。なぜかそう思った。
「えーと?山瀬速人若干16歳の歳にして、数々の賞を受賞。五歳の時にドラマの子役で出演し以後脚光を浴びる。現在レギュラー番組が19本、CMが28本と16歳ではあり得ないほどのテレビ出演率である。しかし、唯一難点なのがあの独特の女嫌いの雰囲気である。しかし、それも山瀬速人の魅力の一つかもしれない」
また…でた
速人の女嫌い…
「速人くんベタ褒めだね。」
『そっ…そうだね』
今、綾那には聞いてはいけないきがした。
綾那に聞いたら一発で速人が女嫌いになった理由がわかるのに…
なぜかそう思った。
いや、聞けなかった…
あたしは、速人が抱えている心の闇の深さに気がついていなかった。