神様・俺様・速人様
「んじゃ!先部活行くね♪」
綾那が帰り仕度を済まながら言ってきた。
『うん。頑張って』
あたしは、朝のことがあるから先生に呼ばれている。
「んじゃお先ー」
綾那は教室を出ていった。
先生には、放送が入るまで教室待機と言われた。
誰も居なくなった教室は、昼間のにぎやかさを思い出させる。
───「秋穂?」
ふいに、後ろから声をかけられた。
『なお………や?』
そこには、直哉が立っていた。
「何やってんの?」
直哉は微笑みながら近付いて来た。
『ぁあ…朝遅刻したから先生に呼ばれたんだ…』
何故か直哉が今日はかっこよく見える。
夕日のせい?
「はぁ?どんくさっ」
あっ………笑った?
直哉が一瞬すごく楽しそうに笑ったように見えた。
『ははは…』
「お前、足はアホみたいに早いくせにどんくさいな」
そう言って直哉はあたしの頭に手を乗せた。
直哉はいつもこうしてくる。