神様・俺様・速人様


高鳴る胸を抑え、あたしは教室を出た。

コンサートの時の速人への気持ちは何だったんだろう…

ふと、そんなことを考えてしまった。

───────……

「30分も遅刻しといて、理由は無しか?」

『だから!ケータイを取りに戻っただけです』

「ケータイを取りに戻っただけで30分もかかるのか?」

『どこにあるかわからなかったんです!』
先生は、なかなか返してくれない。

「新在学大会も近いのに、部活に出れないなんて嫌だろ」

『当たり前じゃないですか!』

「だったら正直に言え」

『だから、言ってるじゃないですか!』


「お前の足で30分なら、凡人なら一時間はかかるな」

ニヤリと不敵な笑みを浮かべ先生は椅子に深く腰かけた。

『だから!ケータイが………』

「依存症かお前…」

『そっ…………そうなんですよー!!!!無いと集中出来なくて!!』

「わかった………在学大会も近いから、もう部活行け」

『はぁーい!』

あたしは、いそいで更衣室に向かい練習着に着替えた。
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