神様・俺様・速人様
「お前…………手紙読んだか?」

速人の不機嫌な低い声であたしの身は縮こまる。

『てが……み?』

「おう」

速人の部屋の玄関であたしは、なぜか速人にキレられている

………何で?

はあっと速人はため息をついた。

「鍵はお前が預かっとけって書いてあっただろが!」
速人はかなりご立腹

『書いてあったよーな…』
へらっと笑うと、速人はお返しに冷たい視線を落としてきた。

あたしは、158しかない身長を恨む。

あたしより、はるかに高い速人を見る。

「いいから、早く帰れ」

また?


速人はいつもあたしを突き放すような言い方をする。
………写真を見てから…

『いっ………やだ!』

反射的にそう言ってしまった。

「はあ?なに考えてんだ?」
『速人…わからない…』

眉を潜めてあたしを見る

「わからない?」

『速人…コンサートの日からおかしい…あたしが……………あたしが写真をみたから?』

速人は目を見開いた。

「……………違う」

『え?』

「必要以上に関わりたくないだけだ…」

冷たい目をして、あたしを見る。

『じゃっじゃあ…何であたしをコンサートに誘ったのよ!』

「…………気に入ったから」

『気に入ったから?………何?それ』

「………やっぱりいい。もう帰れ」

『嫌だ!』

なぜか、速人から離れたくない。

その瞬間、グッと手を捕まれ部屋に連れ込まれた。


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