青空の奇跡


目の前に広がるのは一面の白いコンクリートと青い空。


「うわー、すんげぇ高いじゃん。」


圭はスタスタと歩き出し、ボロボロの今にも崩れそうな鉄の手すりを掴んだ。


「この手すり、ほとんど意味ねぇし。
こりゃ立ち入り禁止になるわけだな。」


順平を見ると、風が気持ちいいのか、気づけば白いコンクリートの上に横になっていた。


「こーやって見ると、空しか見えないんだよねー。空と俺の間に何も入ってこない。
なんか壮大な景色だなぁー。」


ドアの側で立ちすくんでいた俺は、順平に続くように横になり、空を見上げた。


学校の屋上


この高さから見る空は、なぜかすごく近く感じた。
雲が、手を伸ばせば掴めるんじゃないか‥‥と錯覚してしまうほど、こんな場所からまじまじと見る空は初めてだった。




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