青空の奇跡
そのチャーハンを横目に、俺は椅子に鞄を置いて、洗面所に向かった。
「図書館行って何するの?夏休みの宿題?何時頃帰ってくるの?」
「‥‥‥‥。」
顔を洗い始めると降りかかる母さんの質問。洗顔中ですぐに答えられないのわかってるくせに‥‥。
洗い終わって、タオルを片手に俺は椅子に座った。
目の前にはさっきのチャーハン。
俺は何の一言もためらいもなく、それを口に運んだ。
ふと視線を感じて顔を上げると、俺の向かいの椅子に母さんが座って、こっちをじーっと見ていた。
「‥‥なに。」
「何時頃帰ってくるの?」
「‥‥わかんないけど、夕方には帰ってくると思う。」
「今日はお父さん早く帰ってくるらしいから、なるべく早く帰ってきなさいね。」
「‥‥‥‥。」
俺はただただチャーハンを皿から口に運んだ。
寝起きの胃袋は炭水化物の塊をなかなか受け入れてくれなかったが、俺は無理矢理水を飲んで、流し込んだ。
「じゃ、ちょっと行ってくる。」