青空の奇跡
木漏れ日が迎えるその入り口には、ちょっとした散歩をする老夫婦や、犬の散歩をする男の子。
夏休みの昼の時間となれば、彼らにはもってこいの場所だろう。
緑豊かな木々が囲む公園を眺めながら、俺は右折した。
公園沿いの道路を真っ直ぐ行けば、向かい側に市役所と図書館が見えてくる。
俺は道路を渡り、その大きな建物の真ん中にある民間用の駐輪場に自転車をとめた。
荷物を持って図書館に入ると、効きすぎたクーラーの風が体にぶつかった。
俺は迷わずに辞書をいくつか借りて、二階にある自習室に入った。
この自習室は、まるで真っ白な個室みたいな雰囲気の部屋。
部屋のつくりは長い机がいくつかと、椅子がある大学の講義室みたいな感じだけど、空気はいつも凍っているかのように冷たい。
俺は窓側の一番前の席に座った。
あいてる時は、大抵この席を選ぶ。
理由は、大きな木がこの席の窓の向こうにそびえ立ってるから。
なんか、勉強してモヤモヤした時にその木を見ると、心が安らぐ。
そんな気がするんだ。