青空の奇跡
「かっちゃん、自転車?」
「うん。菜々子は?」
「あたしも。」
二人はそのまま駐輪場に向かい、互いに自分の自転車に跨った。
「菜々子、大通りじゃない方から帰っていい?」
「いいよー」
もう太陽は傾いてから、沈む傾向にあった。だいたい今は16時くらいだろうか。
「まさか、かっちゃんが図書館にいるとは思ってなかったよー」
ペダルをこぎ始めてすぐ、菜々子は笑みを浮かべてそう言った。
「俺だって、菜々子がいるとは思わなかったよ。」
「あたしは高校受験ですからねー
この夏休みは遊びほうけるわけにはいかないんですー」
「あ、菜々子も中3か‥‥」
菜々子とこうやって二人きりで話すのは小学生以来、だから三年くらいの月日がまるで一瞬で過ぎ去ったみたいだった。
「早いなぁー。」