青空の奇跡


冷蔵庫に入ったカレーの鍋を取り出し、ちょっと水をさして火にかけた。

暖めている間に圭にメールを送る。


そしたら、ものの3分もしないうちにテーブルに置いた携帯が受信メールを伝える。


『今から行って大丈夫?』


俺は「いいよ。」とだけ送り、カレーを食べ始めた。


圭から俺の家まで、自転車なら5分もかからないけど、今日は雨。

あいつは雨の日、登校や急用以外は昔から歩いてくるのがほとんど。

だから、俺はテレビをつけて、のんびり遅い朝飯を食べていた。



「本日は、イギリスに高山キャスターが行ってくれています。
高山キャスター?」


『はい、私はイギリスのスコットランドに来ています。
今話題のスコットランド出身のハリウッドスターがアカデミー賞ノミネートを記念して、こちらでは彼主催のパーティーが盛大に開かれ、これからミッドナイトステージが中で行われるそうです。』


一人の男性キャスターがピカピカ光る豪邸の門の前で喋っている。


『まずは日中に行われたパーティーの模様をどうぞ!』


テレビの中のキャスターの合図で、画面は明るいパーティー風景に早変わり。

俺は黙々と画面を見ながらカレーを口に運んだ。




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