STARTING!
「那知君、さすがだね」
「…なんであんなヤツが俺の兄貴なんだろうな」
思わずため息をつきたくなった。
俺は光里の手を繋ぐと、また長い通路を進み始める。
「いっちゃんの手のひら、暖かいね!」
「そりゃどーも」
光里の一言に、俺はドキッとした。
いくつになっても無垢な光里。
いつまでも変わらない光里を見て、俺はなんだか嬉しくなる。
「光里、お前変わんねー」
「どしたの、いっちゃん?」
光里が俺の顔を覗き込んだ瞬間、スーツ姿の若い男の人が俺達の前に現れた。
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