In The Rain
19時を過ぎ、仕事を切り上げて後輩達の飲み会に出席した。


まっ、後輩のケアも仕事の一つだ。




唯一、仕事じゃないのは…、いつの間にか隣にいて周りに気づかれないようにテーブルの下で手を繋いでいるキョウコちゃんの事だけだ。



参加した6人は23時には解散した。


オレは一人で飲むと言って駅とは反対に歩いた。

当然、キョウコちゃんと二人で待ち合わせて二次会だ。




「宮本さ〜ん」


すでにキョウコちゃんは軽く酔っていた。


次に入ったいつものBARで、さらに酔わすのに苦労はなかった。



正直、昨日まではミクの事で、キョウコちゃんはどうでもよかった。


それが偶然にも押し引きの引きになったようだ…。


いつの間にか、キョウコはオレに甘え、オレはキョウコの肩を抱いた。


「キョウコ、今日は一緒にいようか?」


「えっ?……うん。いいの?」


「…。」


オレはタバコに火をつけ何も言わず、キョウコを見た。


キョウコは微笑を返した。





「じゃあ、そろそろ…。」


「うん。」



アリバイは特に心配してない。もしもの時は総務で同期の高橋に頼んであった。

この日の為に、何度も高橋の家に泊まり、合コンもした。


それで高橋には彼女も出来てるのだからオレの言うことも聞いてくれるってもんだ。



ミクとの出来事、そしてミクに相手にされない事、仕事の疲れ。


オレがヤル気なのは言うまでもなかった。


心配なのは、週末のホテルが開いてるか?


一人暮らしのキョウコの部屋にいくか……。
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