In The Rain
元々、今夜は帰る気のないボクにはなんの問題もない…。


しかしだ、ミクは子持ちの人妻だ。普通は返さないと行けない。…はずだ。



「でもさぁ…。」


「友達のトコに行くって言ってるから…。」


なるほど…、っておい!

しかし、断る理由などあるわけなく…。


「うん。わかった。…行こうか。」


飲み屋街を抜けるとホテル街だ。

顔見知りのホステスやキャッチと目が合うが今日は無視だ。


移動中は雨もあって余り会話もなかった。



しかし…だ。今更だが、ありえる話なのか?


一緒にホテルへ入って行くのは…、今、ボクが一番好きな…、いや、愛してる女だ。


それが、上手い事いくのも難しいのに…。


しかもだ、その人は同じマンションの上の回、娘の友達の母で、妻の友達だ。平日13時半か金曜22時枠じゃあるまいし…。


その人に恋をして口説いたボクに問題があるのか?


神様、夢なら覚めないで?いや、覚めて!


ここまで来て何を考えているんだ?


背徳感が全力でボクに危険信号をならしていた。

そりゃそうだ。なにがヤバいって、そう、スベテガヤバイ。


しかし…、時々交わす会話の度に、ミクの笑顔にわしづかみにされる。


あぁ、犯罪級に可愛い。

こんな時に、美人で可愛い女は罪だ。

そして、危険信号が徐々に遠くに薄れていく。


理性さん。あなたも消えていくのかい?


ボクは雨の匂いとミクの香に素直に従い、前へと進み部屋へ入った…。
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