In The Rain
「明日ね、早く帰れる?」

「急になんで?」

コイツ、いや、妻にはいつも最初は主語とか大事な部分がない。



妻、ヨウコとは、学生の時からの付き合いだ。

結局、流行りのできちゃった結婚。

ちなみに、もう随分セックスしてない。

浮気のセックスはするクセに、オレって奴は…。


「明日ね、上の階のチカちゃんトコの家族と一緒にご飯食べるの。」

「んで、オレも参加しろって?」

「うん、ダメ?チカちゃんのお父さんも来るんだし…。」


オレにはチカちゃんのお父さんは関係ないのにな…


「わかった。出来るだけ早く帰ってくるよ。ウチでやるの?」


やっと振り向いたヨウコは手をエプロンで拭きながら、「うん。よろしくね。7時からだから」と嬉しそうに答えた。


「わかった。間に合うかはわかんねぇけど、出来るだけ…」

「忘れないでね。よろしく。」


逃げ言葉も言わせずヨウコは話を終わらせた。







ってな訳で早く帰んなきゃいけないのに…。

「ん?どした?」

「あのですね。…。」
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