In The Rain
時計は7時過ぎ…、心地よい疲労が昨晩を思い起こさせる。


ボクはミクを追って露天へ向かった。


曇ってはいたが、雨はやんでいる。



ここで、追えば女の思うツボなのだ。きっと、私のオトコ。主導権もなにもかも向こうのモノだ。

そんな事は解っている。


飲みかけの水を飲み干して露天のドアを開けた。


駆け引きとか主導権とか、もう、どうでもいい。


クールさの欠片もない。



「キャッ、どうしたの?…お風呂、気持ちいいよ。にひっ、おいで。」


ホントにやってくれる…。可愛いな!てめぇ。


「ああっ、すぐ行くからのぼせないでね。はい、水。」

ここまできて、クールもないなっ。

ボクは新しい水のボトルを渡して、シャワーへ向かった。








「ねぇ、アキト。これからどうする?」


「えっ?ご飯食べて…」

「そうじゃなくて…。」

湯船の中で抱きしめていたミクが振り返った。



「あぁ、大丈夫だよ。何度も会おう、出来るだけ一緒にいよう。上手くやれば大丈夫だよ。」


僕は振り出しそうな空を見上げた。


「うん。私も頑張る。アキト…。」


ミクがボクに寄りかかる。


「ミク。………愛してるよ。」


抱きしめて、キスをした。


「んっ、チュッ、あっ、あんっ、ダメ、アキト、あっ、あぁ、そこ…、あっ、ダメ、あっ、エッチになるから……。」


かわいい〜。


欲望なのか愛なのか?体が動くまま流されていくまま、ミクに這うボク。


溢れる熱と固くなった欲望が暖かい湯の中で混ざり合った。


漏れる吐息と快楽、混ざり合う肉と蜜の音。


僕らは形のない愛を確かめあった。


再び降り出した小雨に包まれて……。
< 36 / 102 >

この作品をシェア

pagetop