In The Rain

キミがボクの…

次の週は自分でもおかしいほど、落ち着かなかった。


ミクには何度メールしただろう。


今までそんな事なかっただけに、自分でも??だった。


おかしくなっていたのかもしれない。


お互い、家族という理由があり自由はほとんどないのは解っているのに…。


それでも、嫉妬と不安はボクを狂わせる、醜い生き物にした。


それに心が疲れるボクは仕事でごまかし続ける。

ボクの体力的にも一杯だった時に、一つの誘いに乗った。







「カイちゃん、元気にしてた?」


昔の先輩がツアーの打ち上げに誘ってくれた。


オレの事もバンド時代の名前で呼ぶ。


「こいつ、今、不倫で疲れ気味みたいっすよ。」

普通に告げ口かよ!!
元メンバーに言うんじゃなかったよ。


「カイちゃん、三次会ぐらいでゆっくり聞くよ。楽しんで…。」


ふっ、相変わらずイイオトコじゃねぇか、先輩。




ヘンな盛り上がりは狂い気味のボクを癒やした。


帰らしてもらえないまま三次会だ…。




「カイちゃん、キミはさ、少し余裕ぶった方がカッコいいんだから…。」

「いや、なかなかコントロールが難しくて…。」

「まぁ、そんだけ惚れてんだろ。カイちゃんは寂しがりだから…。全部さらけ出して好きになって、そして、好きになって欲しいんだろ。」


「まぁ、そうすね。」


「じゃあ、しょうがないよ。全力で愛してみなよ。好きになったんだからしかたないさ。」


「はぁ。」


「カイちゃんは不器用だね。まっ、らしいけど。」


「らしいって…。」


「まっ、飲んで。オレはそういうの好きだよ。困った時は電話してこい。」



優しさと酔いが頭を揺さぶった。何かが吹っ切れたような気がした。



充分すぎる休暇になって、ボクは明日からもクールにいける気がした。



そう、確かに気がしたんだ。


この頃は………。
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