In The Rain
流れる軽快な音楽とざわめく男女の声に紛れる。


普通の会話が心地よく続く空間は壊しにくい心地よさすらあった。



キョウコは軽く頬を染めて笑顔でオレをみている。



飛び込んでくる女をぶったぎるのはこちらも痛い……。





「キョウコ、あのさ…。」

「ん?何?どうしたの?」

「あのさ、……言ってなかったんだけどさ……。」


「ちょっと待って。その前に……。はい、誕生日おめでとう。」


キョウコは小さな箱を鞄から出した。


「あ、ありがとう。キョウコはいい女だな…。」

「へぇ?ひひっ。」


「でもさ……。オレなんかに無駄な時間使わないほうがいいんじゃない?」



「えっ?……無駄な時間なんかじゃないよ。アキトが好きだから、今は一緒に居たいよ。」





「でも、オレとキミには…」



「わかってる。私は未来よりも今が大事なの。どうしたの?急に?」



よし、ここまでは順調だ…。


「なおさら、キミが哀れなんだよ。」

「えっ?」

哀れと言う言葉に反応したのか、キョウコの顔が歪んだ。
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