In The Rain
よく見れば、ユキとは背格好など違う所が多いが、雰囲気と顔はよく似ている。


食事の間も子供に目を配りながら、そんな事を考えていた。

あんまり味は覚えていない。

代わりにやたらとハイピッチで呑む大人達が気にはなっていた。



子供達が食事に飽きてゲームを始めた頃には、大人は上機嫌になっていた。

そこそこ落ち着いた頃、ヨウコがビール片手に切り出した。

「黒岩さん。明日はお休みですか?」

「え〜。明日は…、うん。土曜日ですし休みですよ。」

「んじゃあ、今日はゆっくり飲めますね。」

おいおいヨウコさん?何を…。

「はい。これからは家族で仲良くしていきましょう。…ということで今日は呑みましょう。」

赤い顔した黒岩さんが続けた。

しかし、…ということってどういう…?

そんな突っ込む間もなく、二人が楽しそうに今夜の予定をきめやがった。

「スイマセン、ちょっと酔ってるみたいで…。」

黒岩さんの奥さんが気を使って、オレに言った。

「いえいえ、良いんですよ。楽しくやりましょ。さっ、飲んで。あれなら、ワインとか出しましょうか?」

オレも妙な気遣いを…。

「パパ、ワインだしましょ。」

ヨウコが上機嫌に言い放った。

「はいはい。皆さんも呑むでしょう。ちょっと取ってきますね。」

「スイマセン…。」

アッチの奥さんも言ってはいるが呑む気だ。



ワインの準備をしながらオレはウチの子とアッチの子、2人の面倒をみる覚悟を決めた。

みんなを背に深いため息をついた。





子供運ぶのダルッ!
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