In The Rain
長い沈黙だった。雨音がうるさく感じた。
ミクは抱きしめたボクの腕をゆっくりほどいた。
そして……俯いたまま、ボクの方を向いた。
「ねえ……………………、あなた誰?何?わかんないよ………。なんでそうなの?………………何を信じたらいいの?」
…あら?
…はい?
なんでそう来た?
「えっ?ボクは……」
ミクは振り返り、駅に向かって走りだした。
ボクも追って…、すぐにミクの手を掴んだ。
「ちょっと、まって…」
振り返ったミクは泣いていた。
そしてミクは唇をかみしめた。
パァンッ
ミクは再びボクを叩いて駅へと向かって走って行った。
ボクは膝から崩れ落ちそうになるのを必死に耐えた。
追わなければ……っと思ったが、僕の足は動かなかった。
ただ……。
瞳の向こうに消えて行くミクを見つめる以外ボクは何も出来なかった。
ボクはずぶ濡れのジャケットから湿り気味のタバコを取り出した。
もちろん火はつかなかった。
「はぁ、マジか……。なんで…………。」
ボクはちょうど良い高さの段差に俯いて座り込んだ…………。
容赦なくボクに降り注ぐ雨が涙を隠すのにはちょうどよかった。