In The Rain
ピンポーン


静観とした室内によく響く音は、オレの頭を壊すようだった。



「はい?」


オレは玄関途中のインターホンを取った。




「新聞の集金ですが…。」

マジすか?


「すんません、ウチの人間いないんで…また来てください。」


おかしな返答だ。じゃあ、オレはなんだ?


「あっ、すいません。また来ます。」


「よろしく。」


ベッドに戻ろう。


オレはボトルの水をこれでもかっと煽り、布団へ戻ろうと歩きだした。



時間は12時だが、食欲はない。






ピンポーン


ピンポーン


無視だ。


ピンポーン


ピン、ピンポーン


連射!?


あぁ、もう!!



ふらつく足で玄関に向かった。


インターホンはとらなかった。



何の集金だか勧誘だか知らないが何か言わないと気が済まない。



ガチャガチャ、ガチャ。

「はいっ!?なによ?」


「きゃっ、ごめんなさい。風邪引いてるって聞いたから……。」





今度はどんな夢だ?

ちょっと前にも夢でボクを叩いた人が目の前にいた。


「お昼、食べた?ちゃんと食べなきゃダメだよ。ヨウコさんが心配だからって連絡してきたよ。あがるね。」



やたらおしゃべりなミクが最初に会った時の固い笑顔で玄関を入ってきた。

ボクには何がなんだか、理解できなかった。


ガチャガチャ


とりあえず、カギは2つかけた。


「あがりますよ。さぁ、早く……」


ミクは振り向きもせずウチに入っていった。
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