In The Rain

張り詰めた沈黙

今までの空虚に暖かい音が響く。

冷蔵庫の物を温めるだけの後ろ姿だが、この風景をある意味、どれだけ望んだ事だろう。


無理矢理に食卓に座らされたボクは見ているしかなかった…。



「はい、食べよう。いただきます。」

笑顔が突き刺さる。


ボクは無理矢理にお粥を食べた。


「大丈夫?」


「あぁ。」

大丈夫な訳ない。色んな意味で…。


「寝てていいよ。薬と水もって行くから。」



フラつく体を支えながらボクはベッドに戻った。


正直、何をどうすればいいか分からなかった。

熱のせいなのかミクだからか?頭は全く働かないし、そんなマニュアルすらない。



ただ1つわかる事は…。


これがラストチャンスだという事。



とりあえず、ベッドにうつぶせに倒れ込んだ。


働かない頭の中の小さなボクを、それでも総動員させて、言葉や行動を考え、シュミレートする。



何度考えても最後はミクの「あなた誰?」+平手で終わる。

フラレ方はわかっても、繋ぎ止め方はわからない。




そんな時に…、ウチの電話がなった。



「もしもし?」


「ヨウコだけど…、ちゃんとご飯食べた?」

「あぁ、ありがとな。」


「1人でもちゃんと食べないとダメよ。」


ん?


「まだ、熱あるの?ちゃんと寝ないとね。」


「あぁ、大丈夫。」


「大丈夫じゃないよ!4時ぐらいには帰るから…」


「わかった。ヨーグルト買ってきて…。」


「はいはい。ちゃんと寝てね。じゃ。」

子供扱いだな…。


しかし、ナイス電話だ。


希望がでた。



ヨウコはミクに頼んでいない。


多分、子供の関係でボクが風邪で休んだ事は言ったのだろう。


ミクは自分から来たのだ。


でも、だからといって、ラストチャンスには違いなく、良い作戦もない。



改めて別れ話!?


もう一度…?




「あの〜、薬持って来たけど…、入るね?」


キタ…。


「どうぞ。すいません。」





さぁ、どうする?
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