仔猫ボーイ
傘があれば濡れずに帰れる…
ここから家までは結構遠いし、
傘がなければカバンだって
頑張ったメイクだって全部
濡れることになるんだ……
だけど……
「いや、大丈夫です。濡れて帰れます。
家近いんで」
そんな最低な人間にはなりたくないです。
多分この人だって高校生だし
この地区はあたしの学校の地域だよ?
この人の方が絶対家遠いはずだよ。
「女の子は身体冷やしちゃ駄目。
……って友達から教わったんだけどね」
ニコッと笑う男の子は、純粋な目をしていた。
どうしよ……
傘なんてほしくないから
一緒に帰りたいって思った。