季節越し咲く桜花
プロローグ
それは、俺が小学校に入学して少しした頃だった。
因みに俺の家族は、サラリーマンの父親に専業主婦の母親、そして俺の3人。
決して貧しくもなければ、取り立て裕福でもない、極々普通の家庭に俺は生まれた。
…かく言う俺も、人よりちょっと要領が良いくらいでずば抜けて秀でたものがあったわけでもないけど。
まぁそんな事はどうでもよくて。
俺はその日、いつもと同じように学校が終わって帰宅後すぐに、友達と遊ぶために近所の公園に向かったんだ。
公園に着いたら、いつもは俺より先に来ているはずの友達が来ていなくて。
「俺が一番乗りだな。」って下らないことに喜んでいた。
友達が来るまでの暇つぶしに砂場で砂山を作っていると、誰かが公園に入ってくるのが見えた。
この公園は少し規模が大きい上、入口と砂場が端と端にある為誰が来たかまでは分からない。と言うか見えない。
普通、待ち合わせのときにそんな場所で待つか?と言うツッコミはさておいて。
「やっと来たか。」と砂で汚れた掌を服で拭うように払い落とし、俺は入口に居るで在ろう友達に向かって手を振った。
「おーい、ユキーっ!」
“ユキ”というのはその友達の名前。正確にはあだ名。…念の為言っておくけど男。
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