季節越し咲く桜花
「………。」
「……ねぇ、君…って、ちょっと!?」
彼女は一通りかけ終えると傷口をじっと見つめだす。とりあえず声をかけようと口を開いたら、そのまま立ち上がりまた公園の外へ向かった。
「今度こそ見捨てられた?」と、彼女の背中を目で追う。すると、公園の入口に居た若い男を連れてすぐに戻ってきた。
「な、何だよ…?」
「…あー…これまた、派手にすっ転んだな?嬢ちゃん、これ濡らしてきてくれ。」
「…はい。」
男は俺をまじまじと見て、さっきまで彼女が居たところにしゃがみ、俺の質問を無視して救急箱を漁る。
彼女は、男に渡されたハンドタオルを持って水道まで歩いていく。
「…なー、おっさん?」
「ぉ、おっさん?!
…あのなー、俺はまだ高校生なんだ。おっさん扱いすんなよな?」
俺が再度話しかけると、男は呼称が気に食わなかったらしく、若干口元をひきつらせながら俺の頭を力強く掴む。
「いって?!何すんだよ、おっさん!」
「るせぇ!優しい優しいお兄さんにお前は感謝の言葉の一つも言えないのか?!」
「どこが優しいんだよ!痛ぇから、離せ!!」
「…濡らしてきました。」
俺達が口喧嘩(?)をしていると、彼女は濡れたハンドタオルを持って戻ってきた。
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