終わりの空は
その日は晴れ晴れとした空。


線香に火を灯し、二人で手を合わした。


拓人…なにやってんだよ。

杏菜を泣かして…

最悪だよ…


「バカやろう…」


僕は小さな声で呟いた。


振り返ると杏菜が心配そうに僕を見ていた。

「大丈夫?」


「あぁ…大丈夫だよ。」


「あいつは本当にいいやつだった。」

お節介焼きでお人好しで、そして大切な友だった。


「そうだね…」


「雨が来たな…」


「雨なんて……そうだね。」



頬を一粒の滴が流れた。


見上げると空は、夕焼けの朱に染まっていた。
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