深淵
「良い質問だね。でもそれも後から話すよ」                            

 センセイはまたそう言って答えることを拒んだ。                           
 たしかに家庭教師の頃もセンセイは、一番重要なことを後回しにしていた。                           

「・・じゃあ答え合わせをお願いします」                             

 キョウスケはこれまで抱いてきた疑念の答えを求め、センセイは縦に頭を振って微笑んだ。                                

「セカンドと名付けたのはあなたで、それはもちろん彼がサイコパスとわかっていてですね」                              
「正解。どんどんきていいよ」                                              
 センセイは相変わらずリラックスしたように、コーヒーを口に含んでは笑顔を浮かべていた。
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