深淵
「さっきゼロと名乗ったのはセカンドの信仰心を煽った上で、CDを破壊し余計なことをさせないためですよね?」                                

 キョウスケはそう言うと微笑んだセンセイは「正解。満点だよ」と言って、またコーヒーを口に含んだ。                          

・・こうも正解すると気持ち悪いな。                               

 正解して安心を得たと同時に、キョウスケには新しい疑念が生まれた。   



・・間違いがあってもおかしくないはずなのに。
            


 その疑念への答えはおそらく無いだろうと考え、キョウスケはどうしてもわからなかった一つの質問を投げ掛けた。                                           
「じゃあ最後に。どうしてシンドウさんを選んだんです」                                  

 キョウスケがその質問を投げ掛けると、センセイは缶コーヒーを両手で握り締めて潰した。
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