深淵
 センセイは笑みを浮かべながら、「彼は俺が造ったものだから」と言った。                         

・・飛び掛かっていたら、あれで殺されていたわけか。




 キョウスケは頭を小さく左右に振りながら「かなわない」と呆れたように言った。                                  

「さてその殺意はどういったものでなければならないかな?」                                

 少しずつ根幹に迫る。                         
 センセイはそう思わせるような口調で語り、またキョウスケに質問を投げ掛けた。                                  

「どういったもの・・ちょっと理解できませんが」                         
「そうかな?君は言葉に出さずとも、体現しているじゃないか」                               

 キョウスケは目を閉じて頭を全力で回転させたが、その答えは出てこなかった。
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