深淵
「周りに気を配ったり、それに後始末してました」                         
「それはなぜ?」                            
「えっと・・見つからないようにするためです」                          

・・答えは何だ?




 なかなか答えに辿り着かないもどかしさを覚えるキョウスケとは裏腹に、センセイは焦ることはなく相変わらず淡々としていた。                         

「そう、見つからないためだね。でもあの二人は後始末はおろか、周囲に気を配ることはなかった。それはどうしてだろう?」                           

「・・たぶん見つかっても構わないと思っていたのか、それか、最初からそういうことに対して恐怖心がないから・・だと思います」                        

 センセイは笑顔をこぼし、「後者の考え方だよ」と言って答えを促した。
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