深淵
「セカンドが突き止めたシンドウのねぐらが違うところをみると、尾行されることを予測していたんだろうね」     
            


 センセイは冷静に、まるで他人事のように言った。                        
 自分に止めどない信仰心を見せたセカンドの死に、センセイはまるで興味がないようだ。                               

「・・猜疑心が強くて、それに対応もできているようですね」                                

 キョウスケもセカンドの死の可能性に興味を示すことなく、シンドウの行動からその知能の度合いを考えていた。                                

「そうだね。頭の切れる方のタイプと考えていいだろうね」     



「たしかに。・・一見言動は粗暴で頭は悪そうですが、不可思議なことは言ったことはありませんでした」                                   

 自然とキョウスケの眼光も歪になり、目つきの鋭さを増した。
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