深淵
 だからといって、自分が独裁者となるような場所を構築するような発想力は、シンドウには備わっていなかった。        


 だから誰かが築こうとしているものを、体制が出来上がる前に奪い取ってしまえばいいとシンドウは考えた。




・・その為にはゼロを殺さないとな。




 バーサーカーとしてセカンドとキョウスケと出会って、すぐにシンドウはゼロを殺すことを考えた。



 その計画を思いついたとき、おそらく自分になびかないセカンドは殺し、冷静な青年のキョウスケを側近に置くことを考えた。



 従うかどうかはわからないが、キョウスケが垣間見せる知能的な面をシンドウは気に入った。



 でもどうすれば自分に従うのかわからず、結局恐怖を用いて従わさせることにした。         



「・・あいつさえ手に入れば」          



 キョウスケの襲撃に備えて注意を払いながら行動する傍らでシンドウはそう強く願っていた。
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