深淵
「・・脅しが効いたか」             


 シンドウは三日間ずっと注意を払っていたが、自分を尾行する者を見たり気配を感じることはなかった。


 今日もそういったものを感じることがなく、シンドウはすぐにここに帰ってきた。




・・上手くいったな。



 そう思ったシンドウは服を脱ぎ捨てて、風呂に向かった。



「疲れたな・・」



 シンドウは風呂場の前に行くとフラフラと体を揺らした。



 日常の仕事に付け加え、キョウスケの襲撃に対して緊張せざるを得ない状況がひどい眠気をもたらしたと、シンドウは思いながら蛇口を捻って熱めのシャワーを浴びた。



「あぁ・・ねむ・・い・・・」 




 そう言い掛けてシンドウは突如力を失ったかのように、大きな音を立てて倒れ込んだ。        


 倒れ込んだときの痛みがあり、熱いシャワーが掛かっていたのにも拘らず、シンドウは意識を失ったように寝息を立てた。
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