深淵
「お願いします。それではまたいつかお会いしましょう」                                  

 キョウスケはそう言ってその場を立ち去った。                          
 殺し終わったというのにどういうわけか鼓動は激しく、キョウスケは興奮を覚えていた。                               

・・あんたがナイフを向けようとするからだぞ。                          

 去り際に振り返ってシンドウを睨んだその目は、恐ろしく釣り上がっていた。                        

「今日は・・か」                            

 次は許さないってことを忠告したのだろう。                           
 シンドウはキョウスケを従わせようと考え、それをしないと見受けられたら殺すつもりだ。
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