深淵
 それから数日後、キョウスケの携帯が機械音を鳴らし揺れた。                               

“本日、いつもの時間に駅前のAネットカフェに集合”というメールだった。                           

「今日かよ。ずいぶんと急だな」                                 

 携帯を左手に持ったキョウスケは画面から目を背け、深いため息を吐いた。                         

・・今日は狩りじゃないな、メインは。                              

 それと同時にその予感がキョウスケの頭を過った。                        

 集合場所がまず奇妙だ。                        

 セカンドが本当に操られているとしたら、その操っている「あの方」という奴は、そんな普遍的な娯楽施設を集合場所にするとは考え難い。
< 86 / 175 >

この作品をシェア

pagetop