◆太陽のごとくあいつは◆
初恋。
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「ゲームセット!
勝者、成宮・雛森チーム!」
『やったねぇ、千佳!
千佳のおかげだよぉ!』
一番最初に声を張り上げたのは雛森美夏だった。
『楽勝楽勝♪
16歳ナメんなよー♪』
と、対して成宮千佳は得意気に答えた。
『(笑)さーすが千佳!
若いながらキャップのお気に入りなだけあるねぇ』
『もー、それは言いすぎ!』
それは暑い、暑い夏休みのことだった。
ビーチボールで若いながら世界を目指す
成宮千佳と雛森美夏は今日も朝から試合で3連勝。
試合が終わって、観客たちがわらわらとコートから離れだす。
すると一人の男だけが残り、千佳がマッチポイントで打ち込んだビーチボールを拾い上げ、二人の方へ近寄ってきた。
『見事な試合だったぞ。
よくやったな二人とも。』
『『ありがとうございます、キャップ!』』
『午前中は疲れただろうから、昼食が済んだら午後は軽く練習程度にしておけよ』
『『はぁい!』』
二人のハキハキとした様子を見て少し笑い、
キャップと呼ばれる男は車の方へ歩いていった。