◆太陽のごとくあいつは◆
晶螺の手はしっかりと美夏の細い腕を掴み、
『いいから、休むの。このままやってても全然練習になんないよ。』
『ぇっ…ちょ、何勝手なこと…』
黙って早足で歩く晶螺の背中に問いかける。
でも彼は振り向きもせずに答える。
『今美夏ねぇに倒れられたら、俺違う人と組まなきゃいけないんだけど。
それと体調管理はスポーツにおいて大事なことだろ。』
………。
黙って付いていくしかなかった。
晶螺がコーチに事情を話している時も、その手は美夏の手首を捕まえていて。
恥ずかしくて、なぜか顔が熱くなるのがわかる。
自分の手首を捕らえた大きな手を見つめながら、
美夏の心臓は大きく揺さぶられていた。
不覚にも、無言で自分を引っ張っていく晶螺の背中を見て、
一瞬でも、
”年上みたい”、”お兄ちゃんみたい”
なんて考えてしまったり…
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部屋に着いた。
外の浜の方では、他の生徒の掛け声が次々に聞こえてくる。
そして、無駄に静かすぎるこの部屋……