◆太陽のごとくあいつは◆
休憩時間が終わったらしい。
そして練習が再開された。
人が増えたからか、順番にペアずつコーチらが打ち込んでくるボールをひたすら返す練習になった。
『きゃぁっ!!無理よコーチ、こんなの取れないわ』
『弱音はくぐらいだったら練習やめな!!ほら行くよ!!』
『はぃぃっ!!』
みんな他の生徒はヒィヒィ言いながら、必死でただ向かいコートから急降下してくるボールに手を伸ばす。
途中で疲れ果てて、倒れこむ人もいた。
まぁ、ペアで20本打ち返さなくちゃいけないから無理はない。
コーチ側も大変だけど。
『次!!菅野・雛森ペア!!』
『『は、はぃ!!』』
でも、美夏からしたらこんな練習はへでもなかった。
美夏は2年前のあの出来事から、駒井ビーチバレー教室の他の誰よりも頑張ってきたつもりだ。
美夏自身はあの出来事を忘れてしまっている。
が、なぜだか身体は練習を求めて、本能的にそれについていくだけだった。
はぁはぁ…
基礎練なんて久しぶりだけど…意外とまだできる!
余裕を感じた美夏は、チラっと晶螺に目をやる。
晶螺ではないみたいだった。
なんとあの泣きべそアキちゃんが、真剣な顔つきでちゃんとボールを拾い続けている。
まさか…うそでしょ、ちょっと