◆太陽のごとくあいつは◆
『……そっか…。』
『美夏…?』
『そ、そっかぁ!
やーだなぁ、先越されちゃったよ。
まじでビックリした!』
『…雛森…』
友枝も心配そうに美夏のことを見る。
『まぁ……ぅぅんと、ぇへへ…
おめでとう千佳!このォ、幸せになんなくちゃ許さないからね!』
『美夏ぁ…』
『それと…キャップ!』
『………』
『キャップ、あたし、もっともっとビーチバレー頑張ります!
来年の夏は来れないけど、再来年の夏、またここで一生懸命やろうって思います。
千佳がいなくても、自分一人の実力で認められるような選手になってみせます。
それから…千佳のこと、よろしくお願いしますね。』
そして、重たい鞄を持ち、よろけながらも合宿部屋を後にした。
友枝と千佳は追ってはこなかった。
追ってきて欲しくなかったからよかった。
今日が合宿最終日でよかった。
ほんとは閉会式でなくちゃいけないけど…
もうこれ以上ここにいるのは…キツイや。
電車に一人揺られながら外の景色は地元に移り変わってきていた。