◆太陽のごとくあいつは◆
『きゃー!!!』
『ぃやだ、あたしイヤ、持ってよちょっとぉ』
『は?こっちに投げないでよ』
『ギャーっ、逃げてぇぇぇ』
女子たちがギャーギャー騒いでいる間に、
美夏と晶螺は上手いこと彼らから遠く離れたところへ走ってきた。
『『はぁはぁ…はぁ』』
二人とも息を荒げている。
『こ、ここまでくれば…』
苦しそうな声で美夏が続けた。
『どーやら、みんなとはぐれたようね。うまく…』
すると息の整った晶螺は、ハっと何かに気がついたように美夏に向かって言った。
『美夏ねぇ!!
断られたのに枝折っちゃったのぉ!!!?』
信じられない、という様子で焦っている彼。
『何言ってんの。
ちゃんとOKもらったよ?』
『ぇ。』
『まぁ、もっともこんな時間にあんな大勢で来て、急に枝くださいって物好きだねぇって言われたけどね』
ニタっと美夏が笑いながら言うと、晶螺は笑いを堪えられずに噴き出した。
『ぶっ…』
『プっ…』
『『あっはっはっはっはっはっは!!!』』
二人の笑い声が街灯の光を揺らすようだった。