◆太陽のごとくあいつは◆



『きゃー!!!』


『ぃやだ、あたしイヤ、持ってよちょっとぉ』


『は?こっちに投げないでよ』


『ギャーっ、逃げてぇぇぇ』




女子たちがギャーギャー騒いでいる間に、

美夏と晶螺は上手いこと彼らから遠く離れたところへ走ってきた。





『『はぁはぁ…はぁ』』



二人とも息を荒げている。


『こ、ここまでくれば…』



苦しそうな声で美夏が続けた。



『どーやら、みんなとはぐれたようね。うまく…』




すると息の整った晶螺は、ハっと何かに気がついたように美夏に向かって言った。



『美夏ねぇ!!
断られたのに枝折っちゃったのぉ!!!?』




信じられない、という様子で焦っている彼。



『何言ってんの。
ちゃんとOKもらったよ?』




『ぇ。』



『まぁ、もっともこんな時間にあんな大勢で来て、急に枝くださいって物好きだねぇって言われたけどね』



ニタっと美夏が笑いながら言うと、晶螺は笑いを堪えられずに噴き出した。


『ぶっ…』




『プっ…』




『『あっはっはっはっはっはっは!!!』』



二人の笑い声が街灯の光を揺らすようだった。




< 46 / 146 >

この作品をシェア

pagetop