◆太陽のごとくあいつは◆



『……んんっ』



チュッと軽く音をたて、唇は離される。




視線を交わらせる二人。


美夏は花の香りに酔ったのか、意識がポーっとしている。



晶螺が微笑みながら話し始める。




『美夏ねぇ…俺さ、美夏ねぇがペア組んでくれるって聞いた時、嬉しかったんだ。


ずっと、ずっと美夏ねぇとビーチボールで同じコートに立ってみたくて…



美夏ねぇのコーチに…俺が頼んだんだ』





いつもいつも


俺の前を歩いてた美夏ねぇ。




俺がやっと女の子抱きかかえられるようになった時には、


俺はもう群馬なんかに引っ越してて…




『ホントだよ?
ねぇ、美夏ねぇ…信じる?』



横で猫みたいに丸まってウトウトしている美夏に尋ねる。



『…信じてやんなぁい』



『……。
……じゃぁもー1回キスしてい?』



『……ばーか…』



あんたいつの間に覚えたのよ、こんなに甘い手…


今夜は風が気持ちいいし


なんだか花の香りに酔っちゃったみたい………。


美夏はトロンとした目をそっと閉じた。




月を隠していた雲がだんだんに、晴れ始めていた。




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