◆太陽のごとくあいつは◆
『ただいま』
『あら、お帰り美夏!
今年はどうだった合宿?』
『ん……まぁまぁ』
『…???美夏?』
母の歓迎に素っ気なく答え、重たい足を2階の自分の部屋へと運んだ。
バフっ
『ほえぇ…』
ベッドに倒れこみ、ただただ声を殺し泣いていた。
夜になって千佳から電話があったけど、
「幸せにね」とか
「別に全然気にしてないッ」とか
それだけのことしか言わなかった。
「あたし約束する。
友枝さんにはもう会わない。安心して?」
と約束を一方的にして切った。
辛くて、苦しくて
”友枝”ってきいただけでもう泣き崩れそうだった。
でも次の朝、
鏡に映る泣き腫らした眼を見て決めた。
あの人のことはもう忘れようって決めた。
それは、千佳とあの人のため。
それと、
自分自身のためだった。
こうして、16歳の苦い初恋は終わり、
ビーチバレー教室も地元の場所に変え、
千佳ともそれから会わなくなり、
やがて友枝の存在は美夏の頭から消え去ろうとしていた…。
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